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通常、相続における最大の資産は、被相続人(亡くなった方で相続をする人)の所有する自宅の土地であり、この土地の評価に、小規模宅地等の特例が使えるか、使えないかは、相続税の額を決める最重要要素であります。
平成30年度の改定で、小規模宅地等の特例に改定があり、宅地に居住していなかった別居中の親族も、場合によっては、小規模宅地等の特例が認められる場合があるようになりました。 今回は、知っているのと知らないのでは大違いの小規模宅地等の特例のうち、特に「家なき子」について解説させていただきます。では、よろしく、お願い申し上げます。
①国税庁 小規模宅地等の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
②相続会議 小規模宅地等の特例が使える「家なき子とは?
https://souzoku.asahi.com/article/14379363
③相続サポートセンター 「家なき子」なら非同居でも小規模宅地等の特例が使える!
被相続人の自宅を相続する際、小規模宅地等の特例を使えば自宅の評価額を8割減額にできます。330㎡(約100坪)までの土地に使える特例であり、330㎡を超える部分は通常の評価額になりますが、一般的な居住用宅地であれば敷地全体が特例の対象になります。小規模宅地等の特例は被相続人の配偶者または同居親族が自宅を相続する際に利用できますが、どちらもいないお一人さまの状況であれば「家なき子」とされる別居親族でも利用可能です。相続税の圧縮効果が高いため、親の家を承継する予定の方にはぜひ知っていただきたい制度です。
相続人に配偶者も同居人もいない場合、相続が始まる前に3年以上借家生活だった親族であれば小規模宅地等の特例を利用できます。
「家なき子」とは制度の特徴を捉えた通称であり、税理士などの間で使われはじめた言葉ですが、持ち家がない、または持ち家に住んでいない人を指しています。小規模宅地等の特例は地価高騰に対応したものであり、相続税を払うために自宅を売却するなど生活の場を失わないよう配慮された制度です。また近年は核家族が進み、実家とは別の持ち家を購入するケースが増えたため、所有者死亡後の空き家問題も深刻化しています。家なき子の特例を使えば少ない税負担で自宅を承継でき、近年問題となっている空き家の解消にも繋がるため、社会的意義も大きいといえるでしょう。
小規模宅地等の特例は同居親族による自宅の相続を基本とし、配偶者や長男・長女など被相続人と同居する親族が自宅を承継し、住み続けることを前提に税負担を軽減する制度です。しかし、親と同居している子どもが会社都合による転勤など離れた場所で借家生活になるケースは多々あり、別居している間に親が亡くなることも珍しくはありません。
やむを得ない事情で別居しているにもかかわらず「別居中の親族は特例対象外」にしてしまうと、いずれ実家を承継する予定だった親族にとってかなり不利な状況になります。家なき子の特例はこのような状況を考慮したものであり、別居中の親族でも同居親族と同じ税負担で自宅を相続できるようになっています。
①被相続人に配偶者がいない
②相続開始の直前、被相続人の自宅に同居していた法定相続人がいない
③相続人となる親族が相続開始の3年前までに自分の持ち家、配偶者の持ち家、3親等以内の親族の持ち家、特別の関係がある法人の持ち家に住んだことがない
④相続開始時に住んでいる住居を過去に所有していない
⑤相続税の申告期限まで相続した宅地を所有する
家なき子の適用条件には「被相続人の自宅に同居していた法定相続人がいない」とあります。
同居している人が被相続人の孫であるなど、法定相続人以外の「親族」が同居人であれば、3年以上別居している賃貸生活の相続人は家なき子の特例を使えます。
家なき子の特例では、持ち家のある親族は特例の対象外と思われがちです。しかし「持ち家に住んでいない」が適用条件の一つなので、持ち家があっても賃貸物件として人に貸し、相続開始前の3年以上を賃貸マンションなどで暮らしている親族は家なき子に該当します。
家なき子の特例では持ち家の有り・無しを夫婦で判定します。被相続人の娘が嫁ぎ先で夫名義の家に住んでいる場合、「配偶者の持ち家に住んだことがない」の条件から外れてしまうため、娘が実家を相続しても家なき子の特例は使えません。
小規模宅地等の特例では一戸建て住宅をイメージしがちですが、マンションの相続にも使えます。購入したマンションの敷地権に適用できるため、配偶者や同居親族はもちろん家なき子が相続する場合でも評価額を8割減額できます。
家なき子の特例は課税対象額を減額する手続きになるため、税務署への申告が必要となります。相続税の申告期限までに手続きすると特例が適用されるので、あらかじめ必要書類を確認し、漏れのないよう準備してください。
見落としがちな点ですが、課税遺産総額が基礎控除内であれば申告は不要です。相続税の基礎控除は以下のように計算するため、相続人の人数次第では相続税がゼロ円になる場合もあります。
計算式
相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×相続人の数
ただし土地の評価額は立地状況や接道条件、周辺環境など様々な要素を考慮するため、素人による算定はほぼ不可能です。土地の評価額算定は相続に強いイノキュウにご相談されることをおすすめします。
家なき子の特例は税務署への申告により適用されるため、相続税の申告と合わせて手続きします。相続税の申告期限は「被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」とされており、期限を過ぎると特例や他の控除も認められず、延滞税などの罰則もあるため十分に注意してください。
小規模宅地等の特例を利用する場合、相続の事実などを証明するため以下の書類が必要となります。
なお、家なき子の特例では親と同居していないことや借家住まいを証明するため、登記事項証明書や賃貸借契約書等を準備します。
①相続税の申告書
②遺言書または遺産分割協議書の写し
③図形式の法定相続情報一覧
④被相続人の戸籍謄本(相続発生日から10日以降に作成されたもの)
⑤相続人全員の印鑑証明書
⑥相続人の戸籍の附票の写し(相続発生日以降に作成されたもの)
⑦相続する家屋の登記事項証明書および借家の賃貸借契約書等
相続税の申告書には以下の付表を添付しますが、各様式は国税庁のウェブサイトからダウンロード可能です。
① 付表1 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書
② 付表1(続)小規模宅地等についての課税価格の計算明細書(続)
③ 付表1(別表2)特定事業用宅地等についての事業規模の判定明細
④ 付表2 小規模宅地等の特例、特定計画山林の特例又は個人の事業用資産の納税猶予の適用にあたっての同意及び特定計画山林についての課税価格の計算明細書
かつて家なき子の特例は作為的な相続税逃れに使われる事例があったため、平成30年の税制改正で持ち家や相続人などの条件が見直され、改正前よりも家なき子の適用条件が厳しくなりました。本来の趣旨から逸脱した利用を防ぐため「家なき子封じ」とも呼ばれますが、改正前と改正後の違いについて実例を挙げながらわかりやすく解説します。
改正前の家なき子の特例では、相続税対策というより税逃れを目的とした事例もありました。
別居中の子どもの住居が持ち家であれば、子どもは特例の対象外ですが、その家に住む子(被相続人の孫)には持ち家がありません。つまり家なき子に該当する親族になるため、小中学校に通う年齢の孫であっても祖父母の自宅の相続人(受遺者)に指定される事例も多発していたようです。しかしこの考え方は特例本来の趣旨に沿っておらず作為的な相続税逃れとなるため、税制改正後の適用条件では「3親等以内の親族の持ち家に住んだことがない」とされています。つまり3親等以内である親の持ち家に住む孫は家なき子として認められなくなったということです。
以前の家なき子特例では作為的に持ち家なしの状態にするケースもありました。子どもが自分で購入した家に住み、親と別居している場合ですが、親が子の持ち家を買い取って親名義にすると、子どもは持ち家がなく借家住まいの状態になります。
このまま3年間住み続けると家なき子の条件を満たすため、子どもは8割減額の評価減で親の家を相続できました。つまり作為的な名義変更で家なき子状態にしたという事例であり、法改正により「相続開始時に住んでいる住居を過去に所有していない」の条件が追加されています。
ちなみに親に購入してもらった家に住み、名義も親になっている場合は上記と同様の状態になるため、家なき子の特例は使えません。
税制改正後の適用条件には「特別の関係がある法人の持ち家に住んだことがない」が追加されたため、親が経営する賃貸物件に住む子どもは特例を使えない場合があります。なお、特別な関係がある法人には親または親族が株式の50%超を保有する法人も含まれます。
不動産業者等へ売却した自宅に、家賃を払いながら住み続ける仕組みがリースバックです。親と別居している子どもが自分名義の家に住んでいる場合は家なき子に該当しませんが、リースバックを利用すると家の名義は業者になるため、持ち家なしの賃貸住まいになります。そのまま3年経過すると家なき子になりますが、税制改正後には「相続開始時に住んでいる住居を過去に所有したことがない」とされ、見かけ上の家なき子は認められなくなりました。
相続財産には様々な種類がありますが、土地はもっとも税負担の大きい財産といわれます。しかし税額が高いといわれる反面、特例や控除などの優遇措置が用意されているため、評価額を下げやすいという特徴もあります。家なき子の特例を使えば同居親族ではなくても土地の評価を8割減額にでき、自宅を承継して住み続けることから資産の有効活用にも繋がります。親の自宅を継ぐ予定の方はぜひ利用していただきたい制度ですが、肝心なのは適用条件を満たしているかどうかです。家なき子の特例を使えるかどうか判断に迷う場合は、相続事案に強い社労士・行政書士イノキュウに相談してみましょう。
「知っているのとと、知らないのでは大違い小規模宅地等特例「家なき子」とは?」
第28回ユーチューブセミナーをアップいたしました。今回のテーマは「知っているのとと、知らないのでは大違い小規模宅地等特例「家なき子」とは?」(28分24秒)です。
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