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60歳 基本給6割カット「年金あっても減額は許されない」

定年再雇用賃金訴訟 60歳基本給6割カット

「年金あっても減額は許されない」 適切な待遇、会社も苦悩

 60歳を迎えた翌月、給与明細を見ると勤務内容は変わらないのに基本給が6割減っていた。国が推奨する「同一労働・同一賃金」。高裁で審理中の自動車学校訴訟で争われているのが、定年後の賃金減額がどこまで認められるのかというテーマだ。働く現役世代の高齢化が進み、労働力確保と賃金体系のバランスはますます難しくなっている。

 仰 天

愛知県に住む男性(70)は30年以上、自動車学校で普通自動車の講習や学科などで指導に当たってきた。60歳で定年となり再雇用された直後、給与明細を見て仰天した。勤務内容や時間はほぼ同じなのに、月額約18万円だった基本給は前月から10万円近くカットされ、8万円ほどになっていた。13千円の家族手当もゼロになった。

基本給は1年後にさらに減り、定年前の4割の水準となった。「家計への負担が大きく預貯金を切り崩して生活費に充てている」。厳しい生活を余儀なくされたのは、翌年に定年を迎えた同僚も同様だった。労働組合が定年後の待遇改善を求めたが会社側は拒否した。

 「年金などの受給が見込まれるから減額してもいい、ということにはならない。ましてや私たちには長年培ってきた豊富な知識や経験といった付加価値がある」。多くの卒業生に安全運転の意識を根付かせてきた自負と、新入社員より賃金が低い現実。男性らは2016年、定年前の賃金との差額を支払うよう求めて勤務先を提訴した。

 当時の労働契約法は正社員と非正規社員の「不合理な待遇格差」を禁じていた。21年には同種の規定を盛り込んだ「パートタイム・有期雇用労働法」も全面施行された。同一労働・同一賃金の原則を明文化した法整備は、多様な働き方を促す政策の一環でもあった。定年後に嘱託職員として継続雇用された男性のようなケースも、厚生労働省の指針は保護の対象と位置付けている。

ただ、加齢による体力低下や年金・退職金の支給などの事情に鑑み、賃金を低く設定することも認められた。再雇用などで待遇に格差が生じること自体は、最高裁も別の訴訟で「不合理でない」と判じた。

 切 々

実際に定年の壁を超えると給与がガクンと減る例は少なくないようだ。賃金構造基本統計調査(23年速報値)によると、5559歳の平均月給(376400円)に対し、6064歳は305600円と2割ほど少ない。

少子高齢化や労働力不足に加え、厚生年金の支給開始が65歳となった現在。高年齢者雇用安定法は企業に対して、65歳までの雇用確保を義務付け、70歳までの就業確保も努力義務としている。06年の同法改正以降、2029歳の就業者は130万人以上減ったが、60歳以上は660万人以上増えた。

 訴訟では基本給の6割カットが「不合理」かどうかが争われた。自動車学校側が強調したのが、苦しい業界環境と厳しい経営状況だった。

「子どもの人口が減少している。経営はどこも非常に苦しい状況です」。社長は陳述書に切々とつづった。

業界団体によると、最多の1991年に全国1477校あった自動車学校は、202212月末には1240校となった。卒業生も約158万人とピーク時から4割近く減った。

 地裁と高裁は「労働者の生活保障の観点からも6割の減額は看過しがたい」として学校側に差額分の賠償を命令した。

最高裁は237月に一、二審判決を破棄。嘱託職員は役職に就くことが想定されないなど「正社員とは異なる」とも指摘したうえで「不合理な待遇格差」に当たりうるかどうか、基本給のあり方や労使交渉などの経緯について検討を尽くすよう求めて審理を名古屋高裁に差し戻した。

 学校側は訴訟で「人件費は若年指導員の確保、教育を主眼に使いたい」との姿勢を強調してきた。定年以降も賃金を維持すれば、しわ寄せは将来的に会社の中核となるはずの若年層に及びかねない。年功賃金制によって定年直前の賃金がその時点の職務能力や評価、成績と必ずしも一致しないまま最も高くなっていることも付言した。

労働力不足は各業界で深刻だ。提訴から8年。男性らと同様、定年後に下がった賃金で働く高齢者は増えている。これからの事業を支える若手と、経験を重ねたベテランとの待遇バランスをどう取って組織の活力を高めていくか。企業の労務担当者の苦悩が透けて見える。

 (秦明日香) 

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2024年3月4日(月)録画 

60歳 基本給6割カット「年金あっても減額は許されない」11分59秒

HPhttp://www.inokyuu1125.jp/17094783232996

ユーチューブ動画: https://youtu.be/fcwsyMgpaEg

 

 

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