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労働基準監督署とは|権限や調査の種類・是正勧告までの流れを解説
https://www.mks.jp/directhr/queries/30-roudoukijuntokusoku/
労働基準監督官の権限と業務はどのようなものですか?
https://www.fukuoka-roumu.jp/qa/roukisyo/qa5_3/
東京労働局 労働基準監督署
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/kantoku.html
今回は、「労働基準監督署の権限と労働基準監督官の権限」というテーマで、説明させていただきます。
私は、2022年4月以降、労働基準監督署から改善勧告された事業者様、約30社を訪問し、改善報告書の作成支援を行ってきましたが、一貫して、ご案内させていただいたことは
「改善報告書をどのように書くか」ではなく、
「今回の勧告を受け止め、どれだけ、本物の改善をして、
社員との正常な関係を構築し、ひいては、会社の発展に労使双方で取り組める体制を構築できるかということです。」と伝えてまいりました。
ただし、労働基準監督署の権限についても正確にお伝えする必要があると思いましたので、このテーマのプレゼンをさせていただく次第です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
労働基準監督署は、各都道府県の労働局が管轄している機関です。
厚生労働省の出先機関となっており、監督課・労災課・安全衛生課の3部門で構成されています。
以下は、労働基準監督署の主な役割です。
・企業を監督する
・労働者の申告、相談に対応する
・労災認定者に対して労災保険給付の手続きを行う
労働基準監督署は、管轄区域の企業を監督し、労働基準法を遵守しない企業があれば取り締まります。
指導しても改善が見られない企業に対しては、刑事事件として立件することが可能です。
また、労働者が企業から労働基準法違反となる扱いを受けた場合、労働基準監督署に企業の不当性を申告できます。
以下は、労働基準監督署に申告・相談できる主な内容です。
・未払いの給与がある
・不当に解雇された
・労災を会社に認めてもらえない
・36協定を超える残業を行っている
労働基準監督署は、労働者の申告内容や、国が制定した労働に関する法律に基づき、企業に対して是正勧告などの指導を実施します。
以下は、労働基準監督署における業務の根拠となる主な法律です。
・労働基準法
・労働契約法
・社会保険労務士法
・労働保険の保険料の徴収等に関する法律
・労働安全衛生法
企業は労働者よりも立場が強くなりやすい傾向にあります。
そのため、労働基準監督署は、両者の対等な関係を守る上で重要な役割を果たします。
労働基準監督署には、企業が法令違反をしていないかどうかを調査する「労働基準監督官」と呼ばれる専門職員が在籍しています。
以下は、労働基準監督官が持つ主な権限です。
・企業への立入調査
・法令違反への指導勧告
・法令違反者の逮捕
労働基準監督官は、企業に対して事前の通達をせずに立入調査を行い、労働者への質問や帳簿類のチェックを行うことが可能です。
調査の結果、問題があると判断された場合は、経営者に対して指導勧告を行うことができます。
また、労働基準監督官は「特別司法警察職員」としての権限も有します。
法令違反が判明した際や、指摘事項に対する改善が見られない際には、刑事事件として経営者の逮捕が可能です。
労働基準監督署による調査は複数あるため、企業の経営者は具体的な調査内容を理解した上で、健全な労務管理を行うことが大切です。
以下は、労働基準監督署による4つの調査です。
・定期監督 事前に定めた監督計画に基づいて、定期的に企業を調査します。
・申告監督 労働者の申告をきっかけとして実施する調査です。
労働基準監督署は、労働者から不当解雇・未払い賃金などの
相談を受けると、相談内容の事実確認のために対象の企業を
調査します。企業が労働基準法に違反していた場合、
労働基準監督署は企業に対して行政指導を行います。
・災害時監督 労働者から労災申請があった際に行う、原因を特定したり
再発防止策を立てたりするための調査です。
・再監督 前述の3つの調査において、指導した点が正されているかを
確認するための再調査です。是正報告書が未提出である場合や、
報告内容に虚偽・問題点が見つかった場合に実施します。
上記の調査は、法律上の権限に基づいて行われるため、調査の拒否はできません。
企業は、申告監督や災害時監督などが起きないよう、健全な経営を行いましょう。
労働基準監督署以外にも、労働環境を整備する機関が多数あります。
以下は、労働基準監督署と業務内容が似ている主な機関です。
・都道府県労働局
都道府県労働局は、厚生労働省が管轄する組織のひとつで、各都道府県に配置されています。
労働基準監督署よりも上層に位置する組織で、労働関係法令に則って助言・斡旋を行うなど、労働者の環境を改善するための業務を担います。
労働基準監督署は、労働基準法違反などの法令違反に基づき対処を行うことが可能ですが、都道府県労働局には違反を取り締まる権限がありません。
・労働基準局
労働基準局は、都道府県労働局や労働基準監督署を監督する上部組織で、厚生労働省内にある機関です。
都道府県労働局や労働基準監督署を適正に機能させるための機関であるため、基本的に、労働者からの相談を直接受けることはありません。
・総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは、労働基準監督署や都道府県労働局に設置されています。
労働者の相談内容に応じて、適切な行政機関を紹介したり、助言を行ったりしています。
以上から、企業が対応する可能性のある機関は、労働基準監督署や都道府県労働局が多いと言えます。
企業を経営する上で、定期監督などの調査が行われる可能性は少なからずあります。
以下では、労働基準監督署が行う調査から是正勧告までの流れを紹介するため、ぜひ参考にしてください。
①労働基準監督署からの連絡・来訪
立入調査は、事前に連絡が来る場合もあれば、労働基準監督官が抜き打ちで訪ねる場合もあります。
以下は、調査の際に必要となることが多い主な書類と、調査事項です。
主な必要書類
・就業規則や給与規定などの規則を記した書類
・労働条件通知書や雇用契約書の控え
・従業員名簿
・健康診断の結果
・従業員の労働時間が記された月報や直近6ヶ月間のタイムカード
・直近6ヶ月間の賃金台帳
・時間外労働・休日労働の協定届※50名以上の従業員がいる場合は、以下の書類
も必要とされる傾向にあります
・安全衛生管理体制の組織表
・安全衛生委員会の議事録
・管理者・衛生管理者・産業医の選任報告書のコピー
・ストレスチェックの実施記録
・産業医による長時間労働者を対象とした面談指導の記録
主な事前調査事項
・事務所全体の従業員数と18歳未満の従業員数(男女別)
・企業全体の従業員数
・パートとアルバイトの人数
・外国人従業員の人数と在留資格の種別
・障害を持つ従業員の人数と従事する業務内容
・最も給与が低い従業員の給与額
②労働基準監督官による立入調査
事前に準備した書類などに基づいて、立入調査が行われます。
以下は、労働基準監督官が調査する主な内容です。
労働基準監督官が調査する主な内容
残業管理 割増賃金を支払っているか・36協定違反でないか
労働条件 従業員に書面で通知されているか
健康診断 1年に1回行われているか
安全衛生管理体制 作業環境が劣悪でないか
③是正勧告書・指導票の交付
立入調査によって法令違反が発覚した場合、「是正勧告書」が交付されます。
企業は、是正内容に基づいて違反事項を改善しなければなりません。
改善対象となる具体的な内容は「指導票」に記載されます。
④是正報告書の提出
交付された是正勧告書と指導票に従って該当部分を是正し、労働基準監督署に是正報告書を提出します。
提出期限に遅れると、再監督を受ける恐れがあるため注意が必要です。また、是正勧告を無視し続けた場合、経営者が逮捕される恐れもあります。
適切に改善した上で、期限までに必ず是正報告書を提出しましょう。
労働基準監督署の調査が入る場合は、指示された書類を準備し、是正勧告には適切に対応を行いましょう。
各都道府県の労働局が管轄している労働基準監督署は、企業を監督する機関であり、労働者の申告先や相談先でもあります。
立入調査で法令違反が見つかった場合、是正勧告書に基づき、指摘箇所を速やかに改善しましょう。
是正勧告や改善指導には強制力があるため、放置すると再監督だけでなく、経営者の逮捕につながる恐れがあります。
ここまで紹介したことを参考に、日頃から法律を遵守した健全な労働環境を整えるように心がけることが大切です。
事業所に立ち入り、労基法などの労働関係法令に違反していないかを調査し、法違反があった場合は使用者を逮捕・捜索・送検するなどの権限を有しています。
1.労働基準監督官とは
労働基準監督官とは、労働基準関係法令に基づいてあらゆる職場に立ち入り、法に定める基準を事業主に守らせることにより、労働条件の確保・向上、働く人の安全や健康の確保を図り、また、労働災害に遭われた人に対する労災補償の業務を行うことを任務とする厚生労働省の専門職員(国家公務員)をいいます。
この労働基準監督官になるためには、原則として、労働基準監督官試験に合格しなければなりません(労基法99条、労働基準監督機関令1条)。
労働基準監督官に任用されると、配置先は、労働基準主管局(厚生労働省の内部部局として置かれる局で労働条件及び労働者の保護に関する事務を所掌するものをいいます。)、都道府県労働局及び全国の労基署となります(労基法97条1項)。
2.労働基準監督官の行政上の職務権限
労基署が第一線の監督機関であることから、そこに配置される労働基準監督官の権限は重要となります。労働基準監督官の職務権限は、労基法をはじめとした労働関係法令に定められています。
労働基準監督官の行政上の職務権限のうち、特に重要なものについては以下のとおりです。
①労基法上の権限
労基法は、労働基準監督官は「事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、
帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる」
と規定し(同法101条1項)、労働基準監督官の立ち入り調査に法的な根拠を与えています。
「臨検」という用語から、監督官による立ち入り調査は「臨検」ないし「臨検監督」などと
呼ばれています。
「帳簿及び書類」とは、労働者名簿(労基法107条)、賃金台帳(労基法108条)
及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を指します。
これらの書類について、使用者には3年間の保存義務があり(労基法109条)、
労働基準監督官から提出を求められた場合は提出しなければなりません。
行政解釈によると、これらは磁気ディスクによる保存も認められています
(平成7年3月10日基収94号、平成8年6月27日基発411号)。
なお、労働基準監督官は臨検の際、身分証明書を携帯しなければなりません(労基法101条
2項)。
②安衛法上の権限
労働安全衛生法にも労働基準監督官の立ち入り調査の根拠となる規定があります。
労働基準監督官は、「事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは作業環境測定を行い、又は検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができる」と規定されています(安衛法第91条第1項)。
また、同法は、医師の資格を有する労働基準監督官につては、「就業を禁止すべき伝染性の疾病にかかった疑いのある労働者の検診を行なうことができる」と規定しています(同条2項)。
これらはあくまで行政上の権限であり、犯罪捜査の場合は刑事訴訟法上の手続を踏むことが必要となります。
3.労働基準監督官の司法警察員としての権限
労働基準監督官は、上記の行政上の職務権限のほか、司法警察員としての職務権限を有しています。
司法警察員とは、刑事事件の捜査に関して、警察官のような職務を行う行政庁の職員をいいます(司法警察職員について、くわしくは下図を参照してください。)。
【司法警察員にのみ与えられている権限の例】
※括弧内は刑訴法の根拠条項
①各種令状請求権(199条2項・218条3項)
ただし、緊急逮捕の場合における逮捕状請求権を除く。
②逮捕された被疑者を釈放又は送致する権限(203条・211条・216条)
③事件の送致・送付の権限(246条・242条・245条)
④告訴・告発・自首の受理権限(241条・245条)
⑤検察官の命により検視する権限(229条2項)
労働基準監督官は、警察官ではありませんが、労働関係法令違反等の罪に関しては刑事訴訟法に規定する司法警察員としての職務を行うことができるのです。
したがって、労働基準監督官には、逮捕(現行犯逮捕・緊急逮捕・令状逮捕)、逮捕の際の令状によらない差押え・捜査・検証及び令状による差押え・捜査・検証等の権限があります。
また、労働基準監督官は、事件を検察官に対して送致する(いわゆる送検)ことも行っています。
このように労働基準監督官は、所定の労働関係法令違反に関して強制捜査を行えるという強力な権限を有しています。
なお、税務調査を行う税務署の税務職員の場合、強制捜査の権限を持っていません。
したがって、税務調査の税務職員よりも労働基準監督官の方が強力な権限を有しているといえます(税務調査の場合も質問検査を拒否等した場合に罰則はありますが、あくまで任意調査です。)
2022年11月20日(日)労働基準監督署の権限と労働基準監督官の権限( 26 分41秒)
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