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新日本保険新聞掲載 「新米社労士イノキュウの現場からの本音の報告」

2024年4月8日(月)新日本保険新聞

第1回掲載分(2024年4月8日(月)

はじめまして、今月からこの「コラム」に執筆させていただくことになりました「社労士・行政書士イノキュウ」の井上久と申します。

まずは、簡単に自己紹介させていただきます。生まれは、1955年(昭和30年)11月25日で、現在68歳です。大学卒業後、1978年(昭和53年)4月に22歳で日本火災海上保険(株)に入社し、43年間、在籍した後、2021年4月1日に65歳で社労士・行政書士事務所を開業いたしました。

 今回、このコラムの執筆をご依頼いただきましたのは、おそらく、私の「クレーマー・ヘビークレーマー対応」(大手損害保険会社苦情受付係3,144件の証言)の講演が評価されたのだと思っておりますので、まずは、その話をさせていただきます。

 43年間の会社生活では、いろいろな仕事をいたしましたが、61歳からの4年間、本社の「お客さま相談室」という部署で、苦情受付の仕事をいたしました。

簡単に言えば、一日中、お客様からの苦情を聞く仕事で、社員の誰もが希望しない、正直、一番、行きたくない部署だと思います。しかし、私は「人が一番いやがる仕事なら、将来、何かの役に立つのではないか」という根拠はないのですが、何かに期待したことを思い出します。

 仕事の内容は、お客さまからの苦情を受け付け、その内容を現地(主に損害サービスセンターの責任者)に伝え、対応を依頼する。ということなのですが、一つ間違うと、

「ちゃんと聞いているのか」とか「そんなことも知らないのか」とか「お前、人を馬鹿にしているのか」というようなトラブルになりかねませんので、緊張の連続でした。

 ただ、その中で、会得したことは、よく言われていることですが、「とにかく、相手の方の話を聞く」ということです。

 1本の苦情電話の平均所要時間は、18分30秒くらいですが、最初の10分くらいは、途中であいづちくらいは打ちますが、原則として、こちらは話をせずにじっと相手の方の話を聞きます。そして、10分くらい経過すると、相手の方の話が途切れる時がきますので、その時に「こういうことですか?」と伺った内容の要約をさせていただき、「そうよ」とか「そうだ」というお応えをいただければOKです。それ以降は、こちらの話も聞いていただけるので、あとはスムーズに最後まで、会話することができます。なぜなら、「そうよ」「そうだ」は、この人はちゃんと話を聞いてくれる信頼できる人だという評価の証だからです。

 ただ、最初の頃は、自分が知っていて、話ができる話題になるとどうしても話したくなってしまい、まだ、相手の方が2分~3分くらいしか話していないうちに「それはですね~」と話し出すと「まだ、私が話しているのになによ」「ちゃんと人の話を聞きなさい」と何度も叱られたものでした。

 いろいろなことは起こりますが、基本的に、お客さまからの「まともな苦情」は、お客様のご主張が正しいか正しくないかは別にして、ちゃんとお客さまの不満足の内容を把握し、それを現地の責任者に伝え、しっかりと事実確認の上、対応するように依頼すれば完了です。

どんなにこじれている案件でも、間違いなく、対応することができます。

 しかし、10件に1件程度は、不満足の表明ではなく、別の目的をもった方からの電話が入り、100件に1件程度は、その内容にひじょうに問題がある電話が入ります。

 このような申し出のことを私は「クレーマー・ヘビークレーマー」からの電話と位置付けていました。逆に「まともなお客さまからの不満足の表明」の電話については、「クレーム」という呼び方はせず、「お客さまの声」と呼び、その内容を共有し、業務品質の向上につなげる取り組みをしておりました。

 また、まともな苦情の電話は、誠心誠意、丁寧な対応をすればよいのですが、クレーマー・ヘビークレーマーに対し、誠心誠意というようなことは、全く通用しませんので、全く、異なる対応が必要です。次回は、この「クレーマー・ヘビークレー対応」について、ご説明させていただきます。

第2回掲載分(2024年5月13日(月))

2024年5月13日(月)

こんにちは、「社労士・行政書士イノキュウ」の井上久です。

前回は、私が保険会社勤務43年間の最後の4年間、在籍した損保ジャパンの本社お客さま相談室の話をさせていただき、その中で、まともな苦情は、お客さまの話をしっかりと聞き、

責任部署に正確につなげば、どんなにこじれた苦情でも解決に向かうが、最初から違う目的をもって言いがかりをつけてくる「クレーマー・ヘビークレーマー」には、誠心誠意とか心を込めてというような対応では、全く、通用しない。という説明をさせていただきました。

 今回は、「クレーマー・ヘビークレーマー」とはどのような存在で、なぜ、彼らにつけ込まれてしまうのか、更には、どのように対応したらいいのかについて説明させていただきます。

まず、「クレーマー・ヘビークレーマー」とは何者かについてですが、

私は「商品・サービスに対する「不満足の表明」ではなく、別の目的をもって、苦情の名を借りて、ルール違反の攻撃をしてくる輩(やから)」と規定しています。

 彼らの目的は一言では言えませんが、次のようなものです。

    自分の「うっぷん」や「もやもや」や「不満」を自分に対し、決して攻撃してこない弱い人間相手に晴らす。

    誰も褒めてくれない自分の知識や見識を決して逆らわない保険会社の「苦情受付係」

相手にひけらかし、自己満足に浸る。

 そして、彼らの具体的な行動は

    ささいな問題を指摘し、「お前では、話にならないから、責任者に電話を代われ。」と自分の交渉力を誇示し、(お客さま相談室では、これを「エスカレ」(エスカレーションの略です。)と称していました。)その上で、さらに調子に乗ると、「わび状をよこせ。」とか「詫びに来い。」に発展することもあります。

    また、「保険会社の社員なのにそんなことも知らんのか。」とか 「わしは、昔、〇〇〇〇社の部長をしていたんだぞ。」とまくしたて、自らの過去の栄光をひけらかす人もいました。

よって、このような方の話をいくら誠実に丁寧に聞いても全く解決に向かいませんので、

私はいち早く、「クレーマー・ヘビークレーマー」と「まともな苦情の申立をするお客さま」の区別をするため「悪質クレーマーを見抜く7つのフレーズ」という定義を規定していました。

その7つは

①悪評をばらまくと脅す

②公的機関や監督官庁に訴えると脅す

③結論を急がせる

④暗に金品や特別待遇を要求する

⑤他社の対応を持ち出す

⑥こちらを懐柔しようとする

⑦社会通念から逸脱した謝罪を求める

です。

私は、この7つのフレーズの内、

1つ該当すれば「クレーマー―」

2つ以上該当すれば「ヘビークレーマー」と定義していました。

また、彼らの嫌がらせの手法は

①大声を出して、威嚇する。

②ねちねちと同じ話を延々と続け、電話を切らせてくれない。

    ネット、新聞、監督官庁への連絡・投稿等を執拗に主張する。

ですが、

必ず繰り出す手法は、反社会的勢力が使う手法と同じで「因縁」をつけることです。

 因縁とは、「波風が全くたっていない状況の中で、無理矢理波風を立たせ、相手に債務を負わせる行為」です。

具体的には、

    なんや、その目つきは、

    なんや、その態度は、

③ なによ、その上から目線のものの言い方は、

という因縁をつけて、無理矢理に「すみません」という言葉を引き出し、

「すみません」といった相手に間髪入れず、「どないするんや」と債務の履行を執拗に迫る行為です。

典型的な場面は、チンピラヤクザが街で真面目そうな若者に狙いをつけ、すれ違いざまに

「なんや、その目つきは」と因縁をつけ、反射的に「すみません。」と言ってしまった若者に「どないするんや」と債務の履行を迫り、もじもじしながら困り果てて「どうしたらいいのですか?」と命乞いをする若者に「そんなこと自分で考えろ」と言い、あっという間に金銭を奪い取る(カツアゲ)行為の最初の一言です。

 電話の場合、目つきや態度はわかりませんので、受電係への因縁は

「なによ、あなたのその上から目電のものの言い方は」でした。

いろいろな会社でこの話をさせていただきましたが、特に電話対応をするオペレーターの方からは、「私もそのフレーズの因縁を幾度となくつけられました。」とのお言葉をいただき、「ああ、やっぱり、そうなんだ」と納得したことが幾度となくありました。 

2024年5月13日(月)掲載記事

第3回掲載分(2024年6月10日(月))

2024年6月10日(月)掲載分

こんにちは、「社労士・行政書士イノキュウ」の井上久です。

前回と前々回で、私が保険会社勤務43年間の最後の4年間、在籍した損保ジャパンの本社お客さま相談室の話と、まともな苦情ではなく、別の目的をもって、苦情の名を借りて、ルール違反の攻撃をしてくる輩(やから)である「クレーマー・ヘビークレーマー」の使う手法までの説明をさせていただきました。 

今回は、対応に際しての心構えと具体的な対応方法について、説明させていただきます。

まず、意外に思われかもしれませんが、心構えで一番大切なことは

    解決しようなどと考えてはいけない。

ということです。

相手は、まともな理屈が通じる人間ではないのだから。

・物別れ大歓迎。

・納得する訳がない。

・長期戦になるならなればよい。

という覚悟を決め、

トップから最前線の社員全員が同じ視点で臨むことが何より重要です。

逆に言えば、同じ視点で臨めば、何もむずかしいことはありません。

そして、逆に上司が絶対に言ってはいけない言葉は

「俺は知らないからな。」「君たちで、何とかしろ。」です。

上司が、この言葉を発すれば、相手の思う壺です。

その結果として、最前線の社員が土下座をさせられたりすることになるのです。

また、

    勇気をもって、NO(いやです。)という言葉を発することもひじょうに重要です。

具体的には

・穏やかにお話しいただけませんか。

・私、怖いです。

・このままでは、変になりそうです。

・このままでは、業務に支障をきたすおそれがあります。

・すみませんが、簡潔にお話しいただけませんか。

  というような言葉を発することです。

また、

③債務を背負わない。(出来ない約束は、絶対にしない。)

・電話します。

・いついつまでに返事します。

・検討します。

・回答します。

・支払う方向で考えます。

等の不確実な約束は絶対してはいけません。

さらに、

④できる限り、証拠を残すことも極めて重要です。

・録音機による録音。

・防犯カメラによる録画。

場合によっては、警察に通報します。

出来る限り、「警察が動きやすい環境を整えること」が大事なのです。

 その上での対応ですが、

私が実戦で編み出した必殺の言葉「イノキュウのキラーフレーズ」をご案内申し上げます。

「ばかやろう」「このやろう」の連発に対し、まず、

    「おだやかにお話しいただけませんか」と小さな声でいいので、勇気をもって発していただきます。すると、「ばかやろう。」「このやろう」の罵声の音量が2倍になります。(私は何十回も使ってきましたが、間違いなく2倍になります。)

2倍の音量になった「ばかやろう」「このやろう」の連発に対し、

    「おだやかにお話しいただけませんか」と2回目の申し出をしますと、

「このやろう。ばかやろう。」の罵声の音量が4倍(2×2)になります。

このように「ばかやろう」「このやろう」に対し、「おだやかにお話いただけませんか」を

3回、4回と繰り返しますと、音量が倍々に増幅し、16倍に達したころに

十分に引き付けておいて、最後に一言、ちいさな声でいいので、

「私、怖いです。」と言っていただきます。

すると、驚くことなかれ、相手はいきなりし~ん。と黙り込みます。

中には、「そんなつもりで言ったんじゃない・・・・・」等の言い訳をして、

たじたじと、退散し、二度と攻めてくることはなくなります。 

私は、何十回となく、このフレーズを試してましたが、例外なく、し~んとなります。

 では、なぜ、これほどの効果があるのでしょうか?

それは、彼ら、彼女らには、前科があったり、過去に痛い目にあった経験があり、

二度と痛い目にあいたくないのです。要は、警察が怖いのです。

そして、どういう状況になったら、警察が対応できるのかを熟知しているのです。

要は、法律をよく知っているのです。

 たとえば、「怖いです。」と言った相手に罵声を浴びせ続け、その相手が医者に行き、

「心神喪失」等の診断書をとって、警察に届出れば、「脅迫罪」が成立する可能性があることを彼らは知っているのです。よって、プロであればあるほど、この「怖いです。」の一言は効果があります。

 しかし、この「おだやかにお話いただけませんか」と「怖いです」を発するにはかなりの勇気がいります。ただし、私は、この理屈を社員の方が知っているだけで、いざとなったら、「怖いです。」と言えばいいのだなというように、気持ちに余裕ができ、絶望的な精神状態になることを防ぐ効果はあると思っています。ですから、使う場面がない方がいいのですが、できれば、「おだやかにお話いただけませんか」と「怖いです」の練習は、していただきたいと思っています。

2024年6月10日(月)(第3回)

第4回掲載分(2024年7月8日(月))

2024年7月8日(月)掲載分

こんにちは「社労士・行政書士イノキュウ」の井上久です。

前回までは、私が損保ジャパンの本社お客さま相談室で遭遇した「まともな苦情」ではなく、別の目的をもって、「苦情の名を借りて、ルール違反の攻撃をしてくる輩(やから)」である「クレーマー・ヘビークレーマー」の説明をさせていただきました。 

今回は、現在の私の仕事の中心であります「働き方改革推進支援センター」の話をさせていただきます。

「働き方改革推進支援センター」とは、政府が2019年にスタートさせた「働き方改革」の推進に向けて全国47都道府県設置したセンターで、その概要は、「東京働き方改革推進支援センターのチラシ」の通りですが、事業主様のさまざまなお悩みや課題の解決に、いろいろな方法でお応えする機能を有したセンターです。

現在、私は、「東京」、「神奈川」、「千葉」、の3センターで、訪問コンサルタントの仕事をさせていただいており、1日に2社から3社、センターに支援要請をいただいた事業主様を訪問(Zoomミーティングを含む)し、「悩んでいること」や「困っていること」を伺い、解決に向けたアドバイスを行っており、延べ1,000社を超える事業主様の様々な相談に接してまいりました。今回からは、この訪問の中で、いただいたご相談の中から、具体名等は出せませんが、いくつかの事例をご紹介させていただきたいと思っています。 

事業主様からのご相談は、作り事ではない「本気・本音・本物」の相談ですので、正直、即答できるようなことはめったにありません。しかし、原則、当日、どんなに遅くとも翌日、朝一番までに返事をするようにしております。この事業主様からのご質問・ご相談は、新米社労士の私にとっては宝の山なのです。なぜなら、この「本気・本音・本物」のご相談・ご質問に対し、ひとつひとつ懸命に対応してきた結果、知らない間に、力がついていたというのが実際のところです。

今回は、私が事業主様のところに伺って一番、よく聞かれる質問、悩みごとの相談について、お伝えさせていただきます。

面談時間は平均1時間くらいですが、やはり、最初はお互い緊張しているせいか、なかなか本音の話がでてきません。ただ、苦情受付の仕事と同じで、事業主様のお話を丁寧に粘り強く聞いていますと、だいたい、15分経過したころに「実はですね、井上さん。」というフレーズが出てきます。この「実はですね」がでたらしめたもので、「実はですね」からが本当の相談だと思っています。

 そして、「実はですね」のあとに続く言葉は、ほぼ、全員と言っても過言でありませんが、「社員が採れないんです。」「すぐ、辞めちゃうんです。」「採用した社員が育たないんです。」の3フレーズです。別に私が誘導している訳ではないのですが、ほとんどの事業主様が同じことをおっしゃいます。最初はたまたま、同じことをおっしゃるのだろうと思っていましたが、いつまでたっても同じご相談が続くものですから、中小零細企業(もしかしたら、大企業も・・・)の事業主の方々は、本当に人のことで困っているのだ。と実感いたしました。

 そして、そのあと、少ししてから出てくる言葉は「井上先生、どうしたらいいのですか?」です。 私は正直で作り話はできませんので、いつも、こう答えます。「申し訳ないのですが、私は打ち出の小槌ではございませんので、このような問題に対する答えは用意しておりません。」

 ただ、それだけでは、あまりにも不親切ですので、過去に訪問した事業主様から伺った、人の採用に功を奏したいくつかの取り組み事例をご紹介させていただきますが、決定的な解決方法はありません。

 特に中小零細企業の事業主様の最大の悩みは「社員が採用できない。」「採用した社員がすぐに辞めてしまう。」「社員がなかなか育たない。」であります。

 

 

2024年7月8日(月)掲載分

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