日経マネーのまなび　シニア婚活、サービスを知る

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２０２３年５月１２日（土）

シニア婚活、サービスを知る　支援の厚さ、料金に違い

「離婚して１０年以上たち、やはりパートナーがそばにいてくれたら身の回りの不安が減ると思いました」。東京都に住む男性会社員Aさん（６４）は３月、中高年向けの結婚相談所「茜会」に入会した。新型コロナウイルスの流行でいったん婚活をストップしていたが本気で再婚を目指すという。

中高年の婚活が活発になっている。結婚していない「おひとり様」の増加に加え、コロナ下で人と関わる機会が減った不安感からパートナーを求める意識が強まっていることも背景にあるようだ。結婚相談所「パートナーエージェント」が５０代以上の未婚者を対象に実施した調査によると、コロナ禍以降に「孤独だ」と感じる人は約３割に上った。

茜会を運営する日本健康管理（東京・渋谷）の川上健太郎統括部長は「子への相談などを考えて事実婚を検討するなど結婚の価値観が多様化したのも中高年の婚活意欲につながっている」と話す。

ただ年齢を重ねると知人の紹介や職場などで相手を見つける機会は減るのが現実。そこで活用されているのが、結婚相談所やマッチングアプリに代表される婚活サービスだ。中高年向けにサービスの裾野は広がっている。それぞれの特徴や費用をおさえておこう。

　結婚相談所は会員の中から希望条件に合う相手をスタッフが紹介し、見合いの機会を設けるのが基本的な流れ。一方、近年普及してきたのがマッチングアプリだ。アプリをスマートフォンなどにダウンロードし、自身のプロフィルを登録。リストから気に入った相手の「いいね」ボタンを押し、「OK」が返ってくればマッチングアプリが成立する。メッセージを個別にやり取りして会う約束をする。

では費用はどうだろうか。結婚相談所は個別のカウンセリングサービスを用意するなど成婚に向けたサポートが手厚いのが特徴。入会する際も市区町村が発行する独身証明書や収入、学歴の証明を求めるなど身元確認の項目は多い。このため費用はマッチングアプリに比べ高くなりやすい。

例えば茜会では入会金や登録料を含む初期費用が６万６０００円（６５歳以上は４万４０００円）。月会費は月２人まで紹介するプランが８８００円、選任カウンセリングを受けるオプションは別途料金が発生する。紹介された相手と見合いを希望し、相手が応じるとサロンで会う。申込んだ側は１回につき５５００円の見合料を茜会に払う。成婚料は無料だ。

デジタルを積極活用する結婚相談所も出てきた。タメニーが手掛けるパートナーエージェントは、スタッフからの紹介のほか、専用サイトを使って自分で相手を探したり、過去の成婚データを取り入れた人工知能（AI）がマッチングをしてくれたりする。主力プラン「コンシェルジュコース」は、スタッフからの紹介が月６人、自分からは月６人まで見合い希望を送ることができる。

同コースの料金（東京エリア）は初期費用が１３万７５００円、月会費が１万９８００円で、成婚した場合は５万５０００円の成婚料を払う。服装のコーディネーターや写真撮影などがセットになったオプションも６万９０００円から用意し、５０代以上に人気という。

タメニーはシニア婚活の高まりを受けて、２０２３年１月に入会時の年齢上限を撤廃。１～３月は５０～６０代の問い合わせが前年同期比で約３倍になった。「人生１００年ともいわれる長い老後を本格的に見据えて、婚活を始める中高年が増えている」（経営企画部）

　一方、マッチングアプリは一般的に結婚相談所と比べ会員数が多いのが強み。結婚相談所は多くても数万人規模なのに対し、アプリは２００万人超の例もある。出会いの機会の多さや手軽さから、中高年の利用も広がっている。主に再婚希望者を対象とする「マリッシュ」は足元の会員数が約２７０万人と１９年比で４倍に増えた。会員の７割に結婚歴があり、４０代以上が６割を占める。

マッチングアプリは費用が安い点も特徴だ。例えばマリッシュでは登録が無料で、男性のみに発生する月会費は３４００円から。飯田一寿社長は「自分から積極的に相手を探したい人にとっては、費用対効果が高い」と話す。

ただしアプリで気を付けたいのが相手の身元。一般的に独身の証明など身元確認が自己申告の場合が多く、相手の情報が正しいかどうか自身の責任でチェックする必要がある。最近はアプリを悪用した詐欺被害も相次ぐ。仮に相手が金銭や投資を求めてきても応じないことが大切だ。（阿部　真也）